王将行きたい
京都で餃子と言えば、「餃子の王将」をトップとしたヒエラルキーが存在する。
気軽に行ける、美味しい、ボリュームがある、安い。
ファミリー層から出張族、小遣いでいく高校生まで安心して使える巨大な存在が王将である。
ちなみに兄弟が多かったために外食が少なかったわが実家で気軽に腹いっぱい子どもたちを食べさせることができるということで王将にはよく連れて行ってもらった。
そこから高校生になり、部活帰りに、働き出してからは覚えたばかりのビールの味のお供に、仕事で疲れた時に駅前でとやっぱりずっと油でヌルヌルの床を滑らないように歩きながら王将に通ってきた。
完全にソウルフードである。
なので、京都で餃子屋さんをやっているひとたちを思うと尊敬の念があふれてくる。しゅごい。
残念なことに沖縄には王将が存在しない。
あるとすれば、関西に住んでいた時にはまったく存在を知らなかった「大阪王将」というファミレスくらいだ。
ぱっと見は少し似ているけれど、全然知らない人が王将ですジラーして沖縄にいてなかなか勉強になる。侵略物のSF映画みたいだ。
「毎度!ぼく王将ですわ!」
って言うてるけど、もう全然別ものなので息子に言われない限りはいかない。
ぼくが昔行っていたころの王将は、パンチパーマで金のネックレスをしていてヤクザみたいな人たちが料理を作っていて、
「コーテルイー、ソーハンリャン!」
などと、謎の言葉を叫んでいた。
床はヌルヌルで、たまにお客さんとか店員さんがすっころんでいた。こんな怖そうな人ばかりのところで絶対働きたくないな。そう思っていた若い日の僕は、「王将でバイトすることにした」と飄々といって謎の言葉一覧をウンウンとうなりながら覚えてる弟のか細い背中を畏怖の念で眺めていた。
そんな王将にたまにたまらなくいきたくなるのだ。
焼きそばと炒飯と餃子とかに玉をだれかとシェアしながら食べたい。ビール飲みながら。いけないけど。
大阪王将は、息子が餃子とエビマヨが好きなので、よく行くんだけれど、清潔でいい感じに居心地はいいんだけど、その人のよさそうな雰囲気に
「だまされないからな」
とつぶやきながら、いつもラーメンをすすっているのであった。